「隠れ塩分・糖分」に注意!食習慣改善で将来の医療費負担を減らす方法
健康診断で指摘が増えたり、将来の病気や医療費について考えたりする機会が増えた方もいらっしゃるのではないでしょうか。日々の健康習慣は、現在の体調だけでなく、将来かかる可能性のある医療費にも大きく関わってまいります。特に、毎日の食事は私たちの体の基本を作り、その習慣が長期的な健康状態を左右します。
食習慣の乱れが招く健康リスクとその経済的影響
日本人の食生活において、近年問題視されているのが「塩分」と「糖分」の摂りすぎです。これらは、美味しく感じる一方で、知らず知らずのうちに過剰摂取となり、様々な健康リスクを高める要因となります。
例えば、塩分過多は高血圧の大きな原因の一つです。高血圧の状態が長く続くと、血管に負担がかかり、脳卒中や心臓病といった重篤な病気を引き起こすリスクが高まります。また、糖分の摂りすぎは、肥満や糖尿病、動脈硬化などに繋がります。糖尿病は、初期には自覚症状が少ないものの、進行すると腎臓病や神経障害、網膜症などの合併症を引き起こす可能性があり、心筋梗塞や脳卒中のリスクも高まります。
これらの病気は、一度発症すると長期にわたる治療が必要となることが多く、経済的な負担も無視できません。
具体的な医療費の目安
これらの生活習慣病とその合併症の治療には、どのくらいの費用がかかるのでしょうか。具体的な金額は病状や治療法によって異なりますが、一般的な目安として、以下のような例が挙げられます。
- 高血圧: 薬物療法が中心となる場合、年間数万円程度の薬剤費がかかることが一般的です。
- 糖尿病: 血糖コントロールのための薬物療法やインスリン注射が必要な場合、年間10万円以上の医療費がかかることも少なくありません。さらに、合併症が進むと、人工透析には年間数百万円、失明による介護費用など、さらに大きな負担が発生する可能性がございます。
- 脳卒中・心筋梗塞: 発症した場合、入院期間が長期に及ぶことが多く、その治療やリハビリテーションには高額な医療費がかかります。例えば、脳卒中で入院した場合、平均入院日数は数十日程度となることが多く、高額療養費制度(医療費の自己負担額が一定額を超えた場合に払い戻しを受けられる制度)を利用しても、数十万円の自己負担が発生することもございます。さらに、後遺症が残った場合には、その後の通院費、リハビリテーション費用、さらには介護費用など、継続的な経済的負担が生じます。
日々の少しの注意で防げる可能性のある病気によって、年間数十万円、重症化すれば数百万円もの医療費が発生しうることを考えると、健康な食習慣への投資は、将来の医療費という観点からも非常に重要であると言えます。
無理なく続けられる「減塩・減糖」の具体的な工夫
健康に良いとわかっていても、「美味しいものを我慢するのは辛い」「厳格な制限は続かない」と感じる方も多いかもしれません。しかし、全てを完璧にする必要はございません。まずは、日常生活の中で無理なく取り入れられる小さな工夫から始めてみることが大切です。
減塩の具体的な工夫
- 「だし」や香味野菜を活用する: 鰹節、昆布、きのこなどのだしをしっかりと使うことで、薄味でも満足感が得られます。生姜やニンニク、ネギ、大葉、ミョウガなどの香味野菜も風味付けに役立ちます。
- 調味料は「かける」より「つける」: 醤油やソースなどの調味料は、全体にかけるよりも、食べる直前につける方が使用量を減らせます。
- 汁物は具だくさんにして汁の量を減らす: 味噌汁やスープは、野菜やきのこなどをたっぷり入れて具だくさんにし、汁の量を控えめにすることで、自然と塩分摂取量を減らせます。麺類の汁は全て飲まないようにするだけでも効果があります。
- 加工食品や外食の頻度を見直す: 加工肉製品や漬物、練り物、惣菜、ラーメンなどには多くの塩分が含まれています。これらを完全に避けるのではなく、「週に〇回までにする」といった目標を設定するのも良い方法です。
- 栄養成分表示を確認する習慣をつける: 食品パッケージに記載されている食塩相当量を見る癖をつけることで、自分がどのくらいの塩分を摂っているのかを意識できます。
減糖の具体的な工夫
- 飲み物を水やお茶に変える: 清涼飲料水、ジュース、缶コーヒーなどには多くの糖分が含まれています。普段飲むものを水や無糖のお茶に変えるだけでも、糖分摂取量を大幅に減らせます。
- 間食を見直す: ケーキや洋菓子、和菓子、スナック菓子などは糖分が多く含まれています。完全にやめるのではなく、「食べる量を少量にする」「頻度を週に〇回にする」「果物やナッツ、ヨーグルトなど、比較的糖分が少ないものを選ぶ」といった工夫をします。
- 「隠れ糖分」に注意する: 煮物や炒め物など、料理の調味料にも糖分は含まれています。また、意外な食品(パン、ケチャップ、ドレッシングなど)にも糖分が含まれていることがあります。過度に気にする必要はありませんが、意識することは重要です。
- 食べる順番を工夫する: 食事の最初に野菜やきのこ、海藻類などの食物繊維を多く含むものを食べ、次に主菜(肉や魚)、最後に主食(ごはん、パン、麺類)という順番で食べることで、血糖値の急激な上昇を抑える効果が期待できます。
- デザートは特別なものにする: 食後のデザートを毎日の習慣とするのではなく、「頑張った日のご褒美」「週末だけ」など、頻度を減らすことで無理なく糖分摂取量をコントロールできます。
継続するためのヒントと長期的なメリット
新しい習慣を継続するのは難しいと感じることもあるかもしれません。大切なのは、「完璧を目指さないこと」と「小さな成功を積み重ねること」です。
- 家族やパートナーと協力する: 一緒に取り組む人がいると、モチベーションを維持しやすくなります。
- 目標を具体的に設定する: 例:「1日に飲む清涼飲料水を1本減らす」「週に3回は自炊で減塩を意識する」など、達成可能で具体的な目標を立てます。
- 記録をつける: 食事を記録することで、自分の食習慣を客観的に把握できます。
- たまには息抜きも必要: ストイックになりすぎず、たまには好きなものを楽しむことも大切です。メリハリをつけることで、継続しやすくなります。
これらの小さな工夫を続けることで、味覚が変わり、薄味でも美味しく感じられるようになるなど、体の変化を実感できることもございます。そして何より、健康な体を維持することは、自分自身の生活の質を高めるだけでなく、将来の医療費負担を軽減し、家計を守ることにも繋がります。これは、自分自身への、そして大切なご家族への長期的な投資となるのではないでしょうか。
まとめ
日々の食習慣、特に塩分や糖分の摂取量を見直すことは、高血圧や糖尿病といった生活習慣病を予防し、将来かかる可能性のある医療費の負担を減らすための重要な一歩です。すべてを一度に変える必要はありません。まずは、今回ご紹介したような「無理なく続けられる小さな工夫」から一つずつ始めてみてはいかがでしょうか。健康な体と健全な家計は、どちらも日々の積み重ねによって築かれます。未来の自分と家計のために、今日からできることを見つけて取り組んでみましょう。