体と家計に良い習慣

気になる飛蚊症や光視症 将来の医療費を増やさないための目の健康習慣

Tags: 飛蚊症, 光視症, 目の健康, 医療費, 健康習慣

気になる視界の異常、もしかしたら体のサインかもしれません

日々の生活の中で、ふと視界の中に小さな黒い点や糸くずのようなものが見えたり、目を閉じたり暗い場所でチカチカと光を感じたりすることはございませんか。これらの症状は、一般に「飛蚊症(ひぶんしょう)」や「光視症(こうししょう)」と呼ばれ、多くの方が経験する可能性があるものです。

特にパソコンでの作業が多い方や、年齢を重ねられた方にとって、これらの症状は「いつものこと」「年のせい」と見過ごされがちかもしれません。しかし、これらの症状の裏には、将来の目の健康や、ひいては医療費負担に影響を及ぼす可能性のある重要なサインが隠されている場合がございます。

飛蚊症や光視症が将来の医療費につながる可能性

飛蚊症の多くは、眼球の中にある硝子体(しょうしたい)というゼリー状の物質の一部が濁り、それが影となって見える生理的な現象です。また、光視症も、硝子体が収縮して網膜を引っ張る際に光として感じられる現象が原因となることがあり、これら自体が直接病気であるとは限りません。

しかし、注意が必要なのは、これらの症状が、より重篤な目の病気の初期サインとして現れることがあるという点です。特に以下のような病気が挙げられます。

これらの病気は、発見が遅れると治療が難しくなったり、より大がかりな手術が必要になったりする可能性が高まります。これは、身体的な負担が増えるだけでなく、経済的な負担、つまり医療費の増加にも直結いたします。

具体的な医療費の目安とリスク

もし、飛蚊症や光視症のサインを見過ごし、網膜剥離などに進行してしまった場合、どのような医療費がかかる可能性があるでしょうか。

網膜剥離の治療は、多くの場合手術が必要です。手術方法や進行具合によって異なりますが、一般的に入院を伴う手術治療にかかる費用は、健康保険適用後でも数十万円単位となることが考えられます。さらに、病状によっては複数回の手術が必要になったり、術後のリハビリや定期的な診察・検査が必要になったりすることもあります。

例えば、網膜剥離に対する標準的な手術には、入院期間を含め、概ね1回の治療で数十万円程度の自己負担(高額療養費制度適用前)が発生する可能性が指摘されています。もちろん、高額療養費制度を利用すれば自己負担額には上限が設けられますが、それでも制度を利用せずに済む場合に比べれば、家計への負担は大きくなります。

また、視力低下や視野狭窄といった後遺症が残った場合、その後の生活の質(QOL)の低下や、それに伴う様々なコスト(例えば、移動支援や介護費用など)が発生する可能性もゼロではありません。

目の不調を放置することは、単に不快な症状が続くというだけでなく、将来的に高額な医療費を支払うリスクを高めることにつながるのです。逆に言えば、早期に適切な対応をとることで、これらの重篤な病気を予防したり、早期治療によって負担を軽減したりすることが可能になり、結果として将来の医療費を抑えることにつながります。

将来の医療費を増やさないための目の健康習慣

では、気になる視界の異常に気づいた際に、将来の医療費負担を減らすためにどのような習慣を実践すれば良いのでしょうか。重要なのは、「早期発見・早期対応」と「日々の予防」です。

  1. まずは眼科医の診察を受ける 飛蚊症や光視症を感じたら、「気のせいだろう」と自己判断せず、一度眼科を受診することをお勧めいたします。特に、症状が急に現れたり、数が増えたり、大きくなったり、視界の一部が欠けるように感じたりする場合は、できるだけ早く受診してください。これにより、重篤な病気の早期発見につながり、まだ治療が比較的容易な段階で対応できる可能性が高まります。これが将来の医療費抑制に最も効果的な「健康投資」となります。

  2. 定期的な眼科検診の習慣化 特定健診のように定期的な眼科検診の機会は少ないかもしれませんが、特に50歳を過ぎたら、自覚症状がなくても定期的に眼科で目の健康チェックを受けることを検討してください。網膜だけでなく、緑内障や白内障など、自覚症状が出にくいまま進行し、高額な医療費につながる可能性のある病気の早期発見にも役立ちます。

  3. パソコン作業時の工夫 PC作業は目を酷使します。以下の点を意識するだけでも、目の負担を軽減できます。

    • 定期的な休憩: 1時間おきに10分程度、遠くを見たり目を閉じたりして休憩を取りましょう。
    • ディスプレイの調整: ディスプレイは目から40cm以上離し、目線よりやや下になるように調整します。
    • 明るさの調整: ディスプレイの輝度を周囲の明るさに合わせ、眩しすぎないように設定します。
    • 意識的なまばたき: 画面に集中するとまばたきの回数が減りがちです。意識的にまばたきをして目を潤しましょう。
    • ブルーライト対策: 必要に応じてブルーライトカット眼鏡の使用や、ディスプレイ設定でのブルーライト軽減機能を活用するのも良いでしょう。
  4. 食生活の改善 目に良いとされる栄養素を意識して摂取することも大切です。

    • ルテイン、ゼアキサンチン: ほうれん草やケールなどの緑黄色野菜に豊富に含まれます。網膜の黄斑部に存在し、目を保護する働きがあると言われています。
    • ビタミンA: 網膜の機能維持に重要です。レバーやうなぎ、緑黄色野菜に含まれます。
    • アントシアニン: ブルーベリーなどに含まれるポリフェノールの一種です。目の疲労軽減に役立つと言われています。
    • オメガ3脂肪酸: 青魚などに含まれ、目の健康維持に良いとされています。
  5. 生活習慣の見直し 全身の健康が目の健康にもつながります。

    • 十分な睡眠: 目の疲労回復に重要です。
    • 適度な運動: 血行を良くし、目に栄養が行き渡りやすくなります。
    • 禁煙: 喫煙は目の血管にも悪影響を及ぼし、様々な眼病リスクを高めます。
    • 紫外線対策: 強い紫外線を浴びる際は、UVカット機能付きのサングラスや帽子を使用し、目を保護しましょう。

継続するためのヒント

これらの習慣を一度に全て取り入れるのは難しいかもしれません。過去に健康習慣が続かなかった経験がある方もいらっしゃるでしょう。大切なのは、無理なく、少しずつでも良いので継続することです。

例えば、「毎日必ず1時間おきに休憩する」のが難しければ、「まずは意識的に30分に一度は画面から目を離す」ことから始めてみる。食事も「毎日完璧なメニューにする」のではなく、「週に一度は目に良いとされる食材を使った料理を取り入れる」など、小さな目標から始めてみてください。

また、これらの習慣が将来の目の健康を守り、高額な医療費を予防することにつながるという、ご自身の健康と家計双方にとってのメリットを意識することも、継続のモチベーションとなるでしょう。

まとめ

飛蚊症や光視症といった視界の異常は、多くの人が経験する症状ですが、中には網膜剥離などの重篤な目の病気のサインである可能性もございます。これらの病気を放置すると、視力低下や失明のリスクが高まるだけでなく、手術や治療に伴う医療費が家計に重い負担をかけることになります。

しかし、気になる症状があれば早めに眼科医の診察を受けること、そして日々の生活の中で目に良い習慣を取り入れることで、これらのリスクを軽減し、将来の医療費負担を抑えることが期待できます。

目の健康を守ることは、快適な生活を維持するための重要な投資です。今日からできる目の健康習慣を少しずつでも実践し、将来の健康と家計を守りましょう。