あなたの手のしびれ、放置すると将来の医療費がかさむ?データで見るリスクと対策習慣
日常的な手のしびれ、将来の家計に影響する可能性
パソコン作業やスマートフォンの操作など、私たちの手は日々の生活で休みなく働いています。時折感じる手のしびれやピリピリとした感覚に、「疲れているだけだろう」と済ませてはいないでしょうか。実は、その手のしびれ、放置しておくと将来の健康を損ねるだけでなく、医療費というかたちで家計に大きな負担をかける可能性があります。
健康診断の結果に不安を抱え、将来の病気やそれに伴う医療費への懸念をお持ちの方もいらっしゃるかと存じます。手のしびれと将来の医療費には、見過ごせない関連性があります。本日は、手のしびれが招く可能性のある病気とその治療にかかる費用、そして家計を守りながら健康を維持するための簡単な対策習慣についてお話しいたします。
手のしびれに潜む病気リスクと、放置の代償
手のしびれは単なる血行不良や疲労だけでなく、様々な病気のサインである可能性があります。中高年の方によく見られる手のしびれの原因疾患には、以下のようなものがあります。
- 手根管症候群: 手首の神経(正中神経)が圧迫されることで起こり、親指から薬指にかけてしびれや痛みが現れます。特に夜間に症状が強くなることがあります。
- 頚椎症性神経根症: 首の骨(頚椎)の変形などにより、首から腕、手にかけて伸びる神経が圧迫され、手のしびれや痛み、力が入りにくいといった症状が出ます。
- 肘部管症候群: 肘の内側にある神経(尺骨神経)が圧迫されることで起こり、薬指や小指にしびれが現れますやすい疾患です。
- 糖尿病性神経障害: 糖尿病の合併症として、手足の末梢神経が障害され、しびれや感覚の低下が生じることがあります。
- 脳血管障害: 非常に稀ですが、脳梗塞や脳出血など、脳の病気が原因で手のしびれが現れることもあります。
これらの疾患を放置すると、しびれや痛みが慢性化し、箸がうまく使えない、細かい作業ができないなど、日常生活や仕事に支障をきたすようになります。また、痛みをかばうことで他の部位に負担がかかり、肩こりや腰痛などを併発する可能性も否定できません。さらに、診断や治療が遅れることで、症状が進行し、より大規模な治療が必要になるケースも考えられます。
手のしびれに関連する医療費の現実
手のしびれの原因を特定し、適切な治療を受けるためには、医療機関での受診が必要です。放置した場合に必要となる可能性のある医療費について、具体的な例をいくつかご紹介いたします。
まず、医療機関を受診した場合、初診料や再診料がかかります。原因を特定するための検査費用も発生します。一般的な検査には以下のようなものがあり、疾患や症状によって複数の検査が必要となる場合があります。
- レントゲン検査: 骨の状態を確認します。概ね数千円程度です。
- MRI検査: 頚椎や脳の状態、神経の圧迫箇所などを詳しく調べます。一度の検査で1万円から1万5千円程度が目安となります。
- 神経伝導速度検査・筋電図検査: 神経の機能や筋肉の状態を詳しく調べます。一度の検査で1万円から2万円程度が目安となります。
診断がついた後の治療費は、疾患や進行度によって大きく異なります。
- 薬物療法: 痛みやしびれを和らげる薬(鎮痛剤、神経障害性疼痛治療薬など)や、血行を改善する薬などが処方されます。薬の種類や量によりますが、1ヶ月あたり数千円から1万円以上かかることもあります。
- リハビリテーション: ストレッチや運動療法、物理療法などを行います。通院でのリハビリは、1回あたり1,000円から2,000円程度が目安となります。症状改善までに週に数回、数ヶ月かかることもあります。
- 装具療法: 手首や指のサポーター、頚椎カラーなどを使用する場合があります。装具の種類によりますが、数千円から数万円程度です。
- 手術療法: 保存療法で改善が見られない場合、神経の圧迫を取り除く手術などが行われることがあります。手根管症候群の手術は片手あたり、自己負担3割の場合で概ね5万円から10万円程度が目安となります。頚椎症など、より複雑な手術や入院が必要となる場合は、数十万円、あるいは高額療養費制度を適用しても自己負担が数万円から数十万円になることもあります。入院期間は疾患や手術内容によりますが、数日から数週間程度を要する場合もあります。
これらの医療費は、あくまで一例です。症状が進行し、長期にわたる治療や複数の治療法を組み合わせる必要が生じた場合、医療費の合計はさらに増加します。また、症状による体の不調が続くと、仕事の効率が落ちたり、場合によっては休職・離職を余儀なくされたりするなど、経済的な負担は医療費だけにとどまりません。
家計を守りながら健康を維持する対策習慣
手のしびれのリスクと医療費についてご理解いただけたかと存じます。では、このようなリスクを減らし、健康と家計を守るためにはどのような習慣が有効なのでしょうか。無理なく日常生活に取り入れられる簡単な対策習慣をご紹介します。
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PC作業環境の見直しと休憩:
- キーボードやマウスの位置を調整し、手首が不自然に曲がらないようにしましょう。リストレストの使用も有効です。
- 1時間に一度は休憩を取り、手や腕を休ませましょう。休憩中に簡単なストレッチを取り入れるのがおすすめです。
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簡単なストレッチと体操:
- 手首をゆっくりと回す、指を一本ずつ反らす・曲げる、グーパーを繰り返すなど、簡単な動きを習慣にしましょう。
- 首や肩のストレッチも重要です。首をゆっくり傾ける、肩甲骨を回すなど、固まった筋肉をほぐすことで、神経への負担を軽減できます。具体的なストレッチ方法は、健康情報サイトや動画サイトでも多数紹介されています。
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正しい姿勢を意識する:
- 猫背や前かがみの姿勢は、首や肩に過度な負担をかけ、手のしびれの原因となることがあります。座る際は背筋を伸ばし、画面は目の高さに調整しましょう。
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体を冷やさない:
- 手先の冷えは血行不良を招き、しびれを悪化させる可能性があります。特に寒い季節は手袋を使用するなど、冷え対策を心がけましょう。全身を温めることも血行改善につながります。
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基礎疾患の管理:
- 糖尿病などの基礎疾患がある場合は、主治医の指示に従い、血糖コントロールなどをしっかりと行うことが重要です。基礎疾患の管理は、神経障害の予防につながります。
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早期のセルフチェックと医療機関への相談:
- しびれの場所、強さ、頻度、悪化する時間帯などを記録してみましょう。変化に気づきやすくなります。
- 症状が続く場合や悪化する場合、あるいは安静にしていても改善しない場合は、「疲労のせい」と決めつけず、早めに整形外科などの医療機関を受診し、専門家へ相談することが大切です。早期発見・早期治療は、症状の進行を防ぎ、結果的に医療費の増加を抑えることにつながります。
継続のためのヒントと長期的なメリット
新しい習慣を始める際、「続かなかったらどうしよう」という不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。完璧を目指すのではなく、まずは「これだけはやる」という小さな目標から始めてみましょう。例えば、「PC作業の合間に手首を5回回す」や「寝る前に指のストレッチを1分だけ行う」など、ハードルを低く設定するのです。習慣化には時間がかかりますので、焦らず、できた自分を褒めることも大切です。
これらの習慣は、手のしびれの予防・改善に役立つだけでなく、全身の血行促進、肩こり・首こりの緩和、集中力の向上など、様々な健康メリットをもたらします。そして何より、病気を予防し健康を維持することは、将来かかる可能性のある高額な医療費を削減し、大切な家計を守ることにつながります。健康への小さな投資が、将来の大きな安心へと繋がるのです。
まとめ
日常的な手のしびれは、放置すると様々な病気のリスクを高め、将来的に医療費として家計に負担をかける可能性があります。しかし、日々の少しの意識と簡単な習慣を取り入れることで、これらのリスクを減らすことが可能です。
PC作業時の工夫、簡単なストレッチ、正しい姿勢、冷え対策など、今日からできることから始めてみましょう。症状が気になる場合は、自己判断せず早めに医療機関に相談することも非常に重要です。
あなたの健康は、何よりも大切な資産です。そして、その資産を守るための行動は、将来の家計を守ることにも直結します。手のしびれを「体の声」として捉え、ぜひこの機会に健康習慣を見直していただければ幸いです。