健康診断で気になる血糖値 将来の医療費を増やさないための新習慣
健康診断で気になる血糖値、放置していませんか
健康診断の結果を受け取るたび、特定の数値に一喜一憂されている方も多いかもしれません。特に「血糖値」について、「少し高めですね」「経過観察が必要です」といった指摘を受け、気になりつつもそのままにされている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
血糖値は、私たちの体が必要とするエネルギー源であるブドウ糖の濃度を示しています。この血糖値が高い状態が続いたり、食後に急激に上昇したりすることが、将来的に様々な病気のリスクを高めることが分かっています。そして、それらの病気は、残念ながら将来の医療費に大きな影響を与える可能性があります。
血糖値の問題が将来の医療費にどうつながるのか
血糖値の問題の代表格は「糖尿病」です。糖尿病は、インスリンというホルモンがうまく働かなくなり、血糖値が高い状態が慢性的に続く病気です。初期段階では自覚症状がほとんどないことが多いため、健康診断の指摘で見つかるケースが多くあります。
糖尿病を放置すると、全身の血管や神経が傷つき、様々な合併症を引き起こすリスクが高まります。これが、将来の医療費を増加させる主な要因となります。
具体的な例をいくつか挙げます。
- 糖尿病性神経障害、網膜症、腎症: これらは糖尿病の代表的な三大合併症です。神経障害によるしびれや痛み、網膜症による視力低下から失明、腎症による腎機能低下から人工透析が必要になるなど、深刻な状態につながることがあります。
- 特に人工透析は、週に複数回の通院が必要となり、治療費も高額になります。厚生労働省の資料によると、人工透析にかかる医療費は年間概ね500万円以上とされていますが、これは医療保険や公費負担によって自己負担額は軽減されるものの、医療費全体の増加要因となります。また、通院のための時間的・体力的な負担も小さくありません。
- 動脈硬化の進行: 高血糖は血管を硬く、脆くする動脈硬化を促進します。これにより、心筋梗塞や脳卒中といった命に関わる病気のリスクが高まります。
- 心筋梗塞や脳卒中の治療には、急性期の入院や手術、その後のリハビリテーションが必要となります。入院期間は病状により異なりますが、平均で20日を超えることも珍しくありません。治療費も高額になる傾向があり、さらに後遺症が残った場合は、その後の介護費用や医療費が継続的に発生する可能性もあります。
- その他の関連疾患: 糖尿病は、歯周病の悪化、感染症にかかりやすくなる、認知症のリスク上昇など、他の多くの健康問題とも関連しています。
これらの合併症や関連疾患の治療は、単に一時的な医療費だけでなく、長期にわたる通院、投薬、さらには介護サービスの利用につながり、家計に大きな負担をかける可能性があります。健康診断での血糖値の指摘は、「今はまだ大丈夫」ではなく、「将来の医療費リスクへの警告」と捉えることが大切です。
将来の医療費を増やさないための「新習慣」
では、健康診断で気になる血糖値を改善し、将来の医療費リスクを減らすためには、どのような習慣を取り入れれば良いのでしょうか。ペルソナの方々のように「過去に健康法が続かなかった」という経験をお持ちの方でも、無理なく続けられる、日常生活に溶け込むような「新習慣」を提案します。
大切なのは、一気に劇的な変化を目指すのではなく、小さな一歩から始めることです。
食事に関する新習慣
- 食べる順番を変える: 食事の最初に野菜や海藻類、きのこ類など食物繊維を多く含むものを食べ、次に肉や魚などのたんぱく質、最後にご飯やパンといった炭水化物を食べるようにします。これにより、血糖値の急激な上昇(血糖値スパイク)を抑える効果が期待できます。
- 一口30回を目安に、よく噛む: 噛む回数を増やすことで、満腹感が得られやすくなり、食べすぎを防ぐことができます。また、消化吸収が緩やかになり、食後の血糖値上昇を抑えることにもつながります。
- 「ながら食べ」をやめる: テレビを見ながらやスマートフォンを操作しながらの食事は、無意識のうちに早食いになったり、食べすぎたりする原因になります。食事に集中することで、量やスピードを意識しやすくなります。
運動に関する新習慣
- 食後に「ちょい歩き」: 食後15分〜30分後に、10分程度の軽いウォーキングを試してみましょう。食後に体を動かすことで、血糖値の上昇を抑える効果が期待できます。無理に時間を取る必要はなく、食後の片付けのついでに少し体を動かす、食後の休憩時間に家の周りを一周するなど、短い時間で構いません。
- 「ながら運動」を取り入れる: テレビを見ながら足踏みをする、歯磨き中にスクワットをする、通勤中に一駅分歩く、階段を使うなど、日常生活の中で「ついでに」できる運動を見つけましょう。特別な時間を確保しなくても、活動量を増やすことができます。
- 座りっぱなしの時間を減らす: デスクワークが多い方は、1時間に一度は立ち上がってストレッチをする、短い休憩時間に室内を歩くなど、意識的に体を動かす時間を作りましょう。「座りすぎ」も血糖値や健康に悪影響を与えることが分かっています。
その他の新習慣
- 睡眠時間を確保する: 睡眠不足は血糖コントロールを乱す要因の一つです。毎日同じくらいの時間に寝起きすることを心がけ、自分にとって十分な睡眠時間を確保するように努めましょう。
- ストレスをためない工夫: ストレスは血糖値を上昇させることがあります。軽い運動、趣味、リラクゼーションなど、自分なりのストレス解消法を見つけることが大切です。
継続のためのヒント
新しい習慣を続けるのは難しいと感じることもあるでしょう。 * 小さな目標から始める: 最初は「食後に5分歩く」「野菜を一口多く食べる」など、達成しやすい小さな目標を設定します。 * 記録をつける: 食事の内容や簡単な運動の記録をつけることで、自分の習慣を客観的に把握でき、モチベーション維持につながることがあります。スマートフォンのアプリなどを活用するのも良いでしょう。 * 完璧を目指さない: 毎日全てを完璧に行う必要はありません。できなかった日があっても気にせず、次の日から再開すれば良いのです。「できたこと」に目を向けるようにしましょう。 * 専門家に相談する: 健康診断の結果について分からないことや、具体的な改善策について知りたいことがある場合は、医師や保健師、管理栄養士といった専門家に相談してみましょう。自分に合ったアドバイスをもらうことができます。
まとめ 将来の健康と家計を守るために
健康診断で血糖値を指摘されたことは、ご自身の体と向き合う良い機会です。放置することで将来的にかかる可能性のある医療費や、健康を損なうリスクを具体的にイメージすることで、小さな一歩を踏み出すモチベーションになるはずです。
今回提案した「新習慣」は、どれも日常生活の中で比較的簡単に行えるものです。今日からできることから一つでも取り入れてみてください。
日々の小さな積み重ねが、将来の大きな健康と、それに伴う医療費の削減につながります。ご自身の体への「健康投資」として、無理なく、そして着実に、新しい習慣を続けていきましょう。