「最近物忘れが…」放置しないで!将来の医療費を増やさないための脳の健康習慣
中年期に感じる変化、将来の医療費につながる可能性はありませんか
50代ともなると、「あれ、何をしようとしてたんだっけ」「人の名前がすぐに出てこない」など、物忘れが増えたと感じることがあるかもしれません。こうした変化は誰にでも起こりうるものですが、放置すると将来の認知機能の低下や、それに伴う病気のリスクを高める可能性があります。
もし、健康診断で生活習慣病(高血圧、糖尿病、脂質異常症など)を指摘されている場合、これらの疾患は脳の健康とも深く関わっています。脳の血管や神経にダメージを与えることで、将来的に認知症を含む様々な疾患リスクを高めることが分かっています。
そして、こうした病気は、ご自身の健康だけでなく、家計にも大きな影響を及ぼす可能性があります。病気の治療には医療費がかかり、もし介護が必要になった場合はさらに経済的な負担が増加する恐れがあるのです。
脳の健康と将来の医療費の現実
認知症は、残念ながら根本的な治療法が確立されておらず、病状が進行すると長期にわたるケアが必要となることが多い疾患です。厚生労働省の調査などによると、認知症にかかる費用は、医療費、介護費、そして非公式なケア(家族のケアなど)を含めると、年間一人あたり数百万円に達するという試算もあります。
例えば、介護保険サービスを利用した場合でも、サービスの費用には自己負担割合がありますし、公的な支援だけでは賄いきれない費用(医療費、おむつ代、住宅改修費、見守りサービスなど)も発生します。経済的な負担は、病状や介護の状況によって大きく変動しますが、長期化することで家計を圧迫する要因となり得ることは間違いありません。
また、高血圧や糖尿病などの生活習慣病も、それ自体の治療に継続的な医療費がかかるだけでなく、脳卒中や心筋梗塞、腎不全といった重篤な合併症を引き起こすリスクがあります。これらの合併症の治療には、入院や手術が必要となることもあり、一度にかかる医療費が非常に高額になる可能性があります。
このように、中年期からの脳の健康状態は、将来の医療費や介護費に直結する重要な要素と言えます。日々の習慣が、長期的な視点で見ると「健康への投資」となり、将来の経済的な安心にもつながるのです。
無理なく続けられる!脳の健康を守る具体的な習慣
「将来が不安…でも、何をすればいいの?」「以前も健康のために何か始めたけど、結局続かなかった…」そうお感じの方もいらっしゃるかもしれません。ご安心ください。特別なことや高額な費用がかかることばかりではありません。今日から無理なく、日常生活に取り入れられる具体的な習慣をいくつかご紹介します。
1. 適度な運動を取り入れる
運動は体の健康だけでなく、脳の健康にも非常に良い影響を与えます。特に有酸素運動は、脳への血流を増やし、神経細胞の成長を促す物質(BDNFなど)の分泌を助けると言われています。
- 実践のヒント:
- エレベーターやエスカレーターを使わず階段を利用する。
- 一駅分だけ歩いてみる。
- 近所の公園を少し散歩する。
- テレビを見ながら足踏みをする。
- まずは1日10分程度から始めて、慣れてきたら時間を延ばしたり、少し速足にしたりしてみましょう。
2. バランスの取れた食事を心がける
特定の食品だけを摂るのではなく、様々な種類の食品をバランス良く食べることが大切です。特に、脳の健康に良いとされる栄養素を含む食品を意識的に摂りましょう。
- 実践のヒント:
- 青魚(サバ、イワシなど)にはDHAやEPAといった良質な脂質が含まれています。週に1~2回は魚料理を取り入れてみましょう。
- 緑黄色野菜や果物には抗酸化物質が豊富です。食事にもう一品、野菜や果物をプラスしてみましょう。
- 血糖値の急激な上昇を避けるため、白いご飯やパンだけでなく、玄米や全粒粉のものを選んだり、食べる順番を工夫したり(野菜から先に食べるなど)するのも良い方法です。
- 食事は一口30回噛むことを目標に、ゆっくりと食べることで満腹感を得やすくなり、食べすぎを防ぐ効果も期待できます。
3. 質の良い睡眠をとる
睡眠は脳の休息と修復に不可欠です。睡眠中に脳内で老廃物が除去されるなど、重要な働きが行われています。
- 実践のヒント:
- 毎日同じ時間に寝起きするよう心がけ、体内時計を整えましょう。
- 寝る前のスマートフォンやパソコンの使用は避け、リラックスできる時間を作りましょう(温かい飲み物を飲む、軽いストレッチをする、音楽を聴くなど)。
- 寝室の環境を快適に整えましょう(温度、湿度、明るさなど)。
4. 積極的に脳を使う活動を取り入れる
新しいことを学んだり、頭を使ったりする活動は、脳の活性化につながります。
- 実践のヒント:
- 新聞や本を読む。
- 日記をつける、文章を書く。
- 計算ドリルやパズル、囲碁・将棋などのゲームを楽しむ。
- 新しい趣味や習い事を始める(語学学習、楽器演奏など)。
- スマートフォンアプリの中にも脳トレや学習に役立つものがあります。空き時間に活用してみるのも良いでしょう。
5. 人との交流を持つ
社会的なつながりは、精神的な健康だけでなく、脳の健康にも良い影響を与えることが研究で示されています。
- 実践のヒント:
- 友人や家族と定期的に連絡を取り合う、会う機会を作る。
- 地域の活動や趣味のサークルに参加してみる。
- ボランティア活動を始めてみる。
6. 生活習慣病を管理する
高血圧、糖尿病、脂質異常症などは、脳卒中や心筋梗塞だけでなく、認知症のリスクも高めることが知られています。医師の指導のもと、適切に管理することが極めて重要です。
- 実践のヒント:
- 健康診断の結果をしっかり確認し、指摘があった場合は必ず医療機関を受診しましょう。
- 医師や薬剤師の指示に従い、処方された薬を正しく服用しましょう。
- 自宅で血圧や血糖値を測定する習慣をつけ、自分の状態を把握しましょう。
継続が力となる:健康習慣がもたらす長期的なメリット
これらの習慣を一つずつ、ご自身のペースで生活に取り入れてみてください。全てを一度に始める必要はありません。まずは「これならできそう」と思うことから始めて、慣れてきたら少しずつ増やしていくのが継続のコツです。
今日始めた小さな健康習慣が、数年後、数十年後の脳の健康を支え、健康寿命を延ばすことにつながります。健康で過ごせる時間が長くなれば、医療機関にかかる頻度や重症化のリスクを減らし、結果として医療費や介護費の負担を軽減することにもつながるのです。
脳の健康は、単に物忘れを防ぐということだけではありません。思考力、判断力、集中力、そして感情のコントロールといった、生活の質を維持するために不可欠な能力を長く保つことにつながります。これは、経済的な安心だけでなく、ご自身の人生を豊かに過ごすための基盤となります。
まとめ
中年期に感じる物忘れや体調の変化は、将来の健康や医療費について考える良い機会です。特に脳の健康は、将来の医療費や介護費に大きく影響する可能性を秘めています。
しかし、過度に心配する必要はありません。適度な運動、バランスの取れた食事、質の良い睡眠、脳を使う活動、人との交流、そして生活習慣病の適切な管理といった、今日から実践できる無理のない習慣を続けることで、脳の健康を維持し、将来の病気リスクと経済的な負担を軽減することが期待できます。
これらの習慣は、日々の小さな積み重ねです。まずは一つでも良いので、ご自身に合った方法で始めてみてください。それが、ご自身の健康と家計、そして豊かな将来への確かな投資となるはずです。